絶対にマスターしておきたいバットの重心を理解する方法

絶対にマスターしておきたいバットの重心を理解する方法

今になって『普段のバッティング練習からやっておけばよかったぜ』と悔やむのが「バット中心操」というセンストレです。これは本当に悔やまれますw というのも、実際に私がこの仕事をはじめてから“バットを揺すって芯を身体に覚えこませるという単純な体操”にもかかわらず、練習試合・公式戦での打率がとんでもなく跳ね上がる小学生を何度も見てきたからです。

私が小学生のころは所属するチームの練習量が多かったので、技術的な力では困らなかったのですが、残念なことに試合になるとクリーンなヒットやホームランは打てませんでした。身体が小さく真面目で小技が得意、強い当たりは無いが空振りが極端に少ない器用な2番打者と言えば伝わりますかね?w

ただ、運動神経は良かったので守備と走塁は得意でした。空振りも少なかったので動体視力も抜群!!じゃなんで打てねーんだよ…って思わず突っ込んでみたくなるほどポテンシャルを無駄にしたなと。

こんな石川少年と同じようなタイプで悩んでいる親子ってかなりいると思うんですよ。バッティングに全く活かせてないというか、それこそ無意識に遠慮してしまい、能力に制限をかけてしまっているとかね。で、今回の記事で扱う「バット中心操」というセンストレは、こういうタイプの選手にドンピシャですwもう、やらないと損とかそういうレベルではなく、真面目タイプの選手は、私の指導経験上やらないと負のスパイラルから抜け出せません。

具体的に毎日のメニューや応用方法などもお教えしますのでぜひ継続してトレーニングや指導を行ってみてください。

バットを揺するだけなのに効果抜群!

バット中心操を知らないという方のためにやり方と特長を解説します。

こんな感じでリラックスしながらグリップを柔らかく揺すっていくと、バットの重心というのが身体で感じられてきます。いわゆるヘッドの重みというやつです。で、こいつを無意識にかつ正確に感じていればいるほど、スイングしたときに自在にバットを操作できるし、そこ(芯)へ狙って当てたりすることも出来てしまうという感じです。

なぜ揺するのかというと、土台となっている部分を不安定にさせた方が重さが感じやすいからです。ピタッと止めている状態では不可能という事ではないんですが、ものすごーく繊細な感性を持っていないと無理でしょうねw

だから【揺する⇒わざと重心を不安定にさせる】ということを繰り返すことで、自分の中で普遍的な重い部分というのを身体に覚えこませるんです。(もう少し詳しい理論はバッティングセンスアップ専門サイトで紹介しています。興味がある方は、こちらの野球センスのメカニズムを参照ください。)

もちろん練習では意識的に行う必要がありますが、最終的には無意識がベストですね。呼吸するに等しいレベルまで、です。じゃないと、めちゃくちゃ緊張する公式戦で、いちいち考えながらスイングなんてしてられませんからね。

揺する動作を「楽勝」と思うか「深いな」と感じるか

これは私がセンス指導を行っている時に気づいたのですが、難しすぎる方法というのは、あえて難しい道を選ぶというごく一部のマニアックな層(私もこの類の人間ですw)を除いて敬遠したがる傾向があります。かといって、あまりにも簡単すぎる動作だと真理にたどり着けないという、何ともいえないジレンマ…。このバット中心操というセンストレは明らかに後者の、簡単すぎて本質を見抜けずに終わってしまう可能性があるトレーニングであり、実際にそういう選手や指導者の方がいます。

だからこそ、私も『小学生の内から揺することは当たり前のことである』むしろ『揺すらないでバッティングってどうやるんだよ?』と思うくらいまで、重心を身体に覚えこませておきたかったわけです。道具の重心を完璧に感知するというのは並大抵の努力じゃムリですからね。

「楽勝だからもっと難しいのを教えて」って思う中学生・高校生はまず打てませんw 『揺すりは奥がふけーな』こう思えるヤツは打てるんですよ。重心を正確に感知するというのは限りない世界ですから。

そんな感じで、色々な選手を指導してきましたが、やっぱこうやって改めて思うと、学童野球の時にバカみたいに揺すりまくって、世界記録を塗り替えたシーズン時のイチロー選手と同じレベルにまで引き上げたかったなとw

スイングの速さや野球の上手さとか、筋力的な問題などは比較対象になりませんが、この道具を扱うという部分でなら、イチロー選手も近所のガキんちょも同じ土俵に立っていますからね。もちろんとんでもなく遠い存在ですがw不可能という事はないはずです。

だからこそ、楽勝と思う前に、深いなと感じるように徹底して教え込めばなと。

すぐにスイングに導入しようとしないのがコツ

では、つぎに具体的な話をしていきます。上手く揺すれているとヘッドの重さがハッキリしてくるので『こう力を入れるとヘッドが出てこないから振りにくいな』という感じで、スイングがスムーズに行いやすくなるんです。が、これを聞くと、大半の方がじゃどういう軌道でバットが出てくるのかという部分が知りたくなるんです。

原理的には自由軸の落下ですから、芯を動かさずにグリップを動かすのが効率が良いわけです。

バットを使った落下の原理

バットを立てて構えようが、もちろん寝せていようが、芯を中心に自分サイド(グリップ側)が積極的に動いてあげるようにバットを振れば上手に振れます。

ただ、結局は芯に対してバットを動かすため、そこがどれだけハッキリ感じているのかというのが問題になるんです。だから軌道を真似しても打てない理由はこれですw世の中には様々なバッティング理論がありますよね。バットの軌道に言及しているものも多いはずです。ですが、結果的にその軌道を通るという事実と、実際には「道具のどこに対して、どのタイミングで、どれだけの力を加える」ということがわかっていないとできやしないという事実をしっかり整理すべきなんです。

『一流の選手はこうスイングしているんだぁ。すげーな』と思う自分と『でも重心(芯)さえわかっちゃえばあれはできるよね』という自分を持つことが迷わずに上手くなる秘訣です。すぐにスイングの軌道に結び付けないこと、これが大切ですね。

ドアスイングも場合によっては使える!?

それから学童野球ですぐに注意される、ヘッドが下がって遠回りした、いわゆるドアスイングというのは、上記で説明したバット中心操の原理とは正反対な動きです。とうぜん行うべきではないのですが、あえてそのデメリットをメリットへ変えてしまうバッターもいます。

バット中心操と自中操の比較図

比較してみると両者はこんな感じです。図Aがバット中心操ですね。重心を動かさないようにヘッドの動きを少なくする分だけ威力は無いのですが、動き始めのシーンがもの凄く早いというメリットがあります。

逆に図Bはドアスイングの原理です。私はバット中心操に対して自中操と呼んでいますが、まぁ言葉自体は指導には使いませんから覚えなくて結構ですw で、実際にバットを倒してみるとわかりやすいのですが、これを行ってしまうと動き出しにバカみたいに時間がかかるというデメリットがあるわけです。

ただ、どんどん加速していって最終的にバットが落ち切るシーンでは、ものすごい大きな力が生まれるというメリットもあるんですよ。

バッティングでいえば図Aの原理なら、スイングの始動が早い分だけ、振り遅れる危険性も少なくなるということ。図Bの原理なら始動が遅いから振り遅れる危険性が高まるが当たればパワーはある。こんな感じです。

打率よりもホームランを優先するならBでも構わないと思うんですが、まぁ学童野球ではあまり好まれませんよねw

バットスイングの始動の遅れを逆に利用する天才

私はこの仕事をしていて最初から、図Aのバット中心操を選手にお勧めしてきたんですが、理想を言っちゃうと、贅沢にどちらも使いこなせるスイングというのが良いんですよねw 相反する原理ですから普通に考えて、同一選手のスイング内では無理っぽいんですが、じつは共存できるんです。

その代表的なのが絶好調時のイチロー選手です。

流れはこう。始動が早く、振り遅れる危険性の無いバット中心操をデフォルトに設定し、ギリギリまでボールを引きつける。そこでタイミングが合えばそのままスイング。しかし、予期せぬボールが来てしまった…。ここで自中操に切り替え、振り遅れるというデメリットをメリットとして使い、その誤差をわざと遅らせたバットで対処するという無双っぷりですwww

学童野球のルールってホントに面白くて、スピードボールかスローボールの二択じゃないですか?これだけシンプルに緩急対策を求められているわけですから、本来ならイチロー選手の使い分けができる選手がもっと育つはずなんですよ(スイング自体の指導概念が覆ればですがねw)。だからドアスイングがダメというより、まずすべてのベースとなる道具の重心というのを早期に、ホントすぐにでも自分の身体に覚えこませて、バットを自在に扱えるスイングをすべきなんです。

ここはめちゃくちゃ悔やみますよ。いまから学童野球をやり直せるなら、この使い分けが無意識に出来るまで「バット中心操」でバットを飽きるほど揺すりたいw

構えで自然と揺すれるのは打率が跳ね上がる前兆

バットの軌道は考えず、芯を無意識に感じ取れるまで徹底して揺する。

慣れてくれば上下左右だけではなく、色々なバットの位置や腕の位置で揺すってみると効果が高いですよ。柔らかく揺すっていけば、ヘッドがどこでどう揺れようが同じように感じる。しかも両腕とも。ここまでやり込むと、自然とフィーリングの調整法が身に付き調子の波も安定してきます。

『左の肘の外側が固いな』とか『右の肩甲骨の内側が動かない』とかね。もちろんこれらが無意識にできるのが理想です。

色々な位置で違和感なくバットが揺すれるようになってきたら、必ず打席に立った時に自然と全身を柔らかく揺すってますw こうなってくると打率が一気に上がってきますよ。

本気なら自宅でもグランドでも行うことをお勧めします

『どれくらいやればいいのですか?』って質問をよく受けますが、これは選手本人の価値観によりますよ。プロを目指すなら、ひたすらやらないとだめでしょうし、市内で活躍する程度でしたら少し意識を変えるだけで結果は出るでしょうし…。

このブログでは、プロを目指す親子を対象にしているので聞くだけ野暮ってもんでしょうがw

そんな熱い親子に向けて具体的にメニューをいうと…

  • 上下左右を1分×10セット
  • 片手、両手を交互に1分×5セット
  • 別のバットで3セット
  • 素振り2スイングごとに1セットを入れる

何分何セットっていうのは最強を目指す選手にはまったくもって意味のない決めごとですが、一応…。トレーニングやダイエットのエクササイズってこうやって時間的拘束やルールが決まってるから、その時間をわざわざ割いて行わないといけないという障害が、結果的に練習全体の質を下げるんですよね。

そんな感じでノルマ化しちゃうなら、最初の内はいっそ枠を決めずに、すべての動作に応用していく癖を身につける方がよっぽど効果が高いですよ。

どういうことかというと…たとえば、学校で廊下を歩いているとバッティングのフォームが無意識に出てしまう少年がいるじゃないですか?私も中学では野球しか考えてなくて、ついには先生が話しているときにまでスイングを開始してしまい…w 『ちょ…おまえっ、野球のことしか考えてないのかよ!?』って先生に関心?されたことがありましたが、これの重心感知バージョンです。

バットだろうがお箸だろうが鉛筆だろうが消しゴムだろうが、結局は道具と自分なわけです。だから触れるもの扱うものすべて意識してみる。揺すってみる。そうすれば、作業をしながらじつは無意識にトレーニングなってましたという状態が出来上がります。

鉛筆を持つ手

家で勉強するとき、先生の眠くなる話を聞いているときなんて最高ですよ。

何気なくペンをバットに見立てて、ギリギリ落ちないくらいそっと力を抜いて不安定にさせながら、重心を感じるように揺すってみる。そいう道具の重心を感じ取った状態で文字を書けば筆圧だって良い感じで変わってくるはずです。

もちろん、それで勉強が出来るようになったり、綺麗な字が書けるようになったり、知らない漢字が書けちゃったり…なんてことはあり得ませんがね。ここは、センス理論でいう「バッティング上達」=「技術」×「センス」のバランスというやつです。テストで点を取るにはスキルが必要という感じ。

こういった日常生活の動作をしながら意識して工夫していくというのは、『今日も何分何セットをこの時間に行って、次にこれを…』というように機械的な練習するよりも、遥かに質が高いんです。

様々なバットの重心を手に取っただけでわかるレベル

さすがに日常生活にまでトレーニングにしてしまうというところまで話をすると、野球バカでは無い方には完全に引かれますがw とはいえ、「道具を扱うのは、まぎれも無く自分である」という式が成り立っている以上、それを改善しなければ最終的なパフォーマンスは上がってきませんからね。

いろいろな道具を使って~という話で思い出すのが、何十本のバットを揺すり比べるという練習。

バットには長さも重さもそれぞれ違うという性質がありますが、手に取って揺すった時の感じ方の違いを活かして、数をこなすことで順応性を極限まで高め、自分の使うバットとのギャップを利用してさらに重心を感知する精度を磨いていく…という猛者もいましたね。

先ほども言いましたが、この重心を感じる・道具を扱うという力はプロも子供も同じですから、できるだけ小さいうちから行う方が良いですよ。もう、やったもんがちです。

指導は柔らかくを軸に形を評価しないことがポイント

これらをすべて正しく理解して子どもに教えるというのは、かなり難しくなると思うので私が無料で公開している野球上達動画で勉強していただくというのがベストかと(youtubeのaxislab公式チャンネルではタイトル別にリスト化されてます。こっちの方がみやすい)。わからない部分や悩みなどは直接相談していただければお答えしますので、ぜひセンストレを参考にしてみてください。


今回はバット中心操ですので、揺するという動作を教える時に、絶対に押さえておきたいポイントというのをお教えします。

まず、上手く揺すれない場合は何が原因かという問題。これは身体には濃薄があるということが主な原因。手は足よりも意識しやすく、右利きの人は右手よりも左手の方が意識しにくいという感じ。上手く揺すれない選手にはこれをクリアする努力をさせてください。

次に肘から先でしか操作できないという、小手先システムを打開しますw 肩甲骨までもがしっかり参加できるようにするのが理想ですね。

私が揺する動作を指導していて、必ず軸としているのが、まず「質感」を変えるということです。同じようにバット中心操のトレーニングをしていても、あるコーチが「かちかちなイメージで揺すれ」と、別のコーチは「柔らかくふわふわなイメージで揺すれ」と半年間しつこいほど指導し続ければ、前者はぎこちない揺すりになるでしょうし、後者はスムーズに滑らかな揺すりになるでしょう。

こういった質感を変える方法は、あらゆることに有効ですから、“究極に柔らかく”なるように常に指導してあげてください。

それから、できているかどうかを評価するときに形ではなく、そういう見えない部分を問い続けることも大切ですね。上記の質感でいえば、バット中心操というセンストレで、バットを持って揺すっているという形では両者同じなわけです。でも、本質的にはとんでもなく異なる運動になってしまっている。プロになるような選手を育てるなら結果的な形うんぬんではなく、こういう部分を追求しないとダメです。

基本的なやり方はとうぜん守る必要はあるでしょうが、たとえば野球解説者がいくらスライダーといっても、本人がカーブといえばカーブになるというように、そこを問うてはダメです。センス(感性)が無くなったらアウトですからね。


ちょっと長くなってきたのでここらへんで一旦切りましょう。今後もプロ野球選手になるための育成法を熱く語っていきたいと思いますw

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