プロを目指すならまずはキャッチボールを見直せ!!
axislabの公式サイトでは、バッティングをメインテーマにしていたので、ピッチング系の話や理論というのはあまり多くなかったんですが、じつは…ピッチングの方が専門ですw 私は学童のころから投手をやっていたので、技術的には打つよりも投げる方が得意だったり。このブログは括りが無いので「投球」について自由に書いていけたらと思います。
投げることに関しては、野手も含めた層をターゲットに「肘や肩が痛くない投げ方」というテーマで公開しましたが、みなさんはもうご覧になられましたか?学童野球で使える方法も紹介しているので、まだ観てない方はぜひご視聴ください。(youtubeのaxislab公式チャンネルでリスト化されています。)
じつは、この肘・肩の企画というのは、かなりはじめのころからあったんですよ。というのも、今現在も私自身の右肘はまっすぐ伸びない状態なんですが、何の違和感も無く投げられるという事実を、まずは伝えたかったという思いがありまして。
指導を依頼されてグランドに行くと『肘が痛い』って選手が、どのチームにも必ずいましたからね。なので、もっと投げるってことに関心を持ってもらいたかったなと。
この関心という意味ですが、もちろん自分の可能性という意味です。
考えてみると、ボールを投げる動物って人間以外いませんし、ましてや130m先に遠投することや、時速160キロを超えるスピードで投げられるって…野球という狭いカテゴリーで考えると、そのパフォーマンスはつい当たり前って感じがしてしまいますが、改めて考えていみると『人間の身体はめちゃくちゃ凄いんだな。しかも同じ構造の身体を誰もが持っているし』と私は関心してしまいます。
これは、センスのある学童野球のピッチャーに遭遇した時も同じです。
背が低くて筋力も骨格も、部分的な出力という面で大人と比べたら、たかが知れているはずなのに100キロを超えるボールをかるく投げちゃったりするわけですし…。『これで体が大きくなったら、いったいこいつは何キロ出るんだろう…』とかねwww
まぁ、そんな「無限の可能性を秘めている」といっても過言ではない人間の身体ですが、負担のかかるような投げ方を学童野球の内から継続して行っていると…これほどもったいないことは他に無いだろ!!って感情が湧いてきて肘肩を作ったわけです。
MAX108キロを投げた私の学童野球時代
肘肩の動画の「はじめに」でお見せしているように、私は右肘が真っ直ぐ伸びません。いわゆる野球肘ですね。いま考えると、小学生の頃にえらく負担がかかっていたのでしょう。ただ、私が所属していたチームには100キロを超える投手が私の他にも2人もいたので、スポーツ医学的に言われている危険な投球回数には達していなく、それほど負担がかかっていなかったはずなんですがね…。
そんなこんなで、肘肩の動画を作る際に『センス理論を提唱しているいま現在の知識で、当時の投げ方をみてみるとどうなのかな』とふと疑問に思い、写真を眺めてみたんです…が、これがまた非常に良いんですよw これだけ体幹が使えてれば『そりゃ100キロ超えるよ』って感じ。でも肘が壊れた。何でだッ??
肘が真っ直ぐ伸びなくなった理由は2つ
まず考えられるのが肉体的に耐えられなかったという点。当時はクラスの背の順で一番…前だったんですが、この“チビが剛速球を投げ込むというアンバランスさ”が、いま思うとめちゃくちゃあぶねーなとw どんなに効率の良い投げ方をしても骨が、筋肉が耐えられなければ、痛くても根性で投げ続けられる…は別として、ケガをするのが人間の身体ですからね。
で、次に考えられるのが自由すぎる関節は時として非効率的な運動を生み出すという点です。これは動画や公式サイトのコラムでも言及していますが、関節の可動域を広くしても、自分で動きをコントロールできない場合は、かなり危険度が増すという事ですね。
フォーム的な部分はこれら2つのあとに考えてます。確かに野手のスローイングのような投げ方をしていたので綺麗とはお世辞にも言えませんでしたが…。摂津投手の投げ方に近いといったほうがイメージしやすいでしょうかね。
それでも肘が壊れた最大の理由がフォームだとは思っていません。
投げるという本質を見ればすべて同じ
HDDを整理していたら面白い動画が見つかったのでアップしてみました。一般的なピッチング指導書に書いてあった「危険な投げ方」と「お勧めしていない投げ方」を片っ端からまとめて、センストレを行った身体で実演してみるか…という面白動画ですw
これら十数個の投球フォームは、学童野球の投げ方として“どれが是”で“どれが非”かを皆さんは判断できますか?
じつは…すべて是であり非でもある可能性があるんですよ。
私が色々なフォームで投げようとしていても、よーく注意して見てると何か同じような部分が浮き出てくるはずです。それは部分でみると感じませんが、フォーム全体で見た時に感じる、自分という核の部分というか、投げるって能力の本質的な部分というのが無意識に出てしまうという感じです。
いくらフォームを意識的に作っても「センスの部分」はちょっとやそっとでは変わらない。
肘が壊れた最大の理由がフォームだとは思っていないと言ったのは、やはりこれが大きいですね。当時は理論とか知らずに、それこそ投げ方についても考えてませんでしたし。ただただ速いボールが投げられて、相手チームが静まり返る現象が好きで好きでたまらなく、カウントが3ボールになろうが三振しか狙わない…そんなわがままピッチャーでしたからねw
公式サイトでも度々解説していますが「相手を抑えること」にシンプルになっていたわけです。なので、意識的に作られた投球フォームが関係していた割合は低いかなと。技術的には、フォーム自体を是か非かで判断できるんだと思うのですが、センスの部分は別と考えないとダメです。
肘が壊れたのは意識の質があまり良くなかった?
肉体的に耐えられなかった+動きすぎな関節をコントロールできなかった。と説明しましたが、これの元凶となっているのが質感だと考えています。バットの扱い方の記事でも少し触れましたが、同じ動作を行うときに「かちかちで無機質な冷たいイメージ」で行うのと「柔らかく癒されるような温かいイメージ」で行うのとでは、パフォーマンスが全く異なってくるというやつです。
で、この仕事をはじめて色々な選手をみていたら気づいたのですが、上手くなろうと必死で練習すればするほど「固くて破壊的なイメージ」側へ進んで行ってしまう傾向があるんですよ。たとえば、ある程度の強豪校の高校生なんかになれば、バットの振り方に特徴が出てきて両腕の力感が、見ている側にもビリビリと伝わってくるほど“強いスイング”をするわけです。
しかし、プロになるような選手だと逆に「柔らかくて癒し的なイメージ」側へ進んでいくということが起こるんです。たとえば、力感を全く感じないスイングなのに、まるでピンポン球のように、打球がオーバーフェンスしていく…といったように。
結論から言ってしまえば、学童野球で投手を任された当時の私は、前者の「固くて破壊的なイメージ側」の頂点に近づいていたのかなと思っています。それをもうひと超えできれば、「柔らかくて癒し的なイメージ」へと切り替えることができていたのでしょうが、まぁチームがスパルタでしたから無縁なイメージですね…www
キャッチボールをもっと大切にしておけば良かったと思う理由
だから、もしプロを目指すんだったら「強いリリース」や「強い腕の振り」というものを子どもの内から徹底的に排除するというのがすごく大切。
質を変えていこうとしたときに、やっぱ頭で理解しただけでは単なるイメージで終わってしまうので、普段の練習で繰り返し行っていくことが重要になってくるんです。そこで、私がお勧めするのが…キャッチボールです。
センス指導を行っているとつくづくキャッチボールって本当に良い練習だなぁと。何気なくみんな投げて捕っての繰り返しで「肩が温まった」とか「相手の捕りやすいところに投げる」だとか、そういう部分を意識してしまいがちで、動作自体は全くの無頓着なわけです。
肘肩が痛くない投げ方の動画内でも、学童野球で行いたいキャッチボール方法として、ギリギリの力で投げる練習を紹介しましたが、あれは正にこの破壊的なイメージを打開していく方法ですね。
同じ投手の投球フォームでも「破壊的な質」と「柔らかな質」の両方であっても、100キロのスピードボールは投げられるんだ、ということを知っておかないと、野球を続けていくうえで高確率で潰れます。
ピッチャーは消耗品だからという理由で球数自体を投げさせないという医学的な理由はもちろん私も納得します。やはり投げすぎは良くないですからね。ただ、私自身の例でもわかる通り、それほど投げていないけど選手のパフォーマンスでえらく結果が変わってしまうということを忘れてはいけません。
べろんべろんな身体で投げることがお勧め
だからこそ頭でわかったつもりになるんじゃなくて、徹底して動作・意識レベルで柔らかい質を覚えこみ、同じように速いボールが投げられる感じを掴ませることが重要なんです。
こんな感じでガキんちょの頃から、身体の隅々まで柔らかく使って投げ続けていれば、いまごろは… これはホント後悔しています。
いま現在、学童野球を行っていて尚且つプロを目指している親子は“今日のキャッチボールから”これ行った方が良いですよw もちろん周りから『ちゃんと投げろ』って怒られるかもしれませんがね。“最強を目指す”なら、学童時代で他人に人生を委ねることほど虚しいことは無いですから、トラブルにならない程度に誤魔化しながらも、ちゃっかりこの方法で毎日調整すべきです。
いまの私からいわせれば『ちゃんと投げていないのはおまえらだろ』って感じですからねw こういうキャッチボールを繰り返していると、肩甲骨と肋骨の間が信じられないくらいスムーズにスライドしてきますし、その柔らかさをコントロールする練習にもなりますから、ぜひ行ってください。
肘の回旋運動は勝手に出来るということ
あ、それともう一つ大事なことがありました。私が中学時代でつまづいたある事件。当時私たちの世代で大流行した「手塚一志氏の6つの必須モーション+ジャイロボール」という宝物ですw この記事のテーマは学童ですので、中学時代は関係なかったのですが、手塚氏の影響力と、いま現在の目の肥えた学童野球の指導者を考えたら話題に挙げるべきかと。
で、その私の青春そのものだった手塚理論で『あーやっちゃったな』といま改めて感じるのが、氏の代名詞とされていた回旋運動です。中学生当時は言葉の意味もわからずに見よう見まねでやっていたのがそもそもの原因なんですが…。
テイクバックのシーンで、肘を内旋させながら肘を引き上げるという動作を、手塚氏の「形ではなく動きが大切」という注意書きを完全スルーしてしまいw ものの見事にやっちゃいけない例をやってしまったわけです。んーまぁ平たくいうと意識的に腕を捻って投げてしまったということですね。
いやでも、「形ではなく自然となるものだ」という文章を読んだので『形じゃない形じゃない』と言い聞かせながら慎重に行ったのですが。
それでも、いまほど読解力も無かったので見抜けませんでした。『回旋運動は捻ってひねり戻される身体であれば勝手にできます』という意味であり、そもそも選手が知る必要のない情報だったということです。
ニセスクラッチって言葉もマイブームで、いろいろな所で自慢げに言っていたのですが…そもそも偽物はお前だろとw
居着きの無い動きこそが本物
この「捻り」と「ひねり戻される」という言葉がカギになってくるのですが、この部分はほとんどの方が間違って解釈していたのでは無いかと思っています。
ゴム動力の飛行機で、プロペラを巻くと限界までよじれたゴムが一気によじり戻されるというイメージなんですが、この捻る・戻されるという山と谷の部分が非常に難しい。投球したときの腕は、スパイラル状にストレッチされていくということを知ってしまうだけで、どうしても無意識に捻るとひねり戻されるという2つの要素を行ってしまうんです。
本来なら、これら2つは切れ目のないものと解釈しなければいけなかったんですよ。『捻って・ひねり戻す、1・2』というリズムで考えるんじゃなくて完全にヌメーッと動作が繋がっていないと意味がないですからね。
手首から肩甲骨までをしっかり連動させ、腕に軸をイメージし、その回りを一筆書きのように滑らかにくるくると回していく。これだけですね。理論として知っておくのは指導者だけ。選手がグランドで行う場合は山と谷がハッキリしてしまうような使い方は避けるべきでしょう。
ギリギリの力を常に、瞬時かつ的確に演算する脳を鍛えることも、上半身の各要素を複雑に連動させることも、これらを当たり前にやり込むことで可能にしますから、プロを目指す投手は毎日続けるべきです。
すべてはキャッチボールで決まる
そんな感じでいま思うと、もっとキャッチボールの時間を大切にしておけば良かったなと改めて感じています。全力で投げてるときって筋肉がそれだけ固くなるわけですから全身をくまなく…なんてことは困難になりますからね。
だからこそ超リラックスできるキャッチボールの時間というのを毎日の練習のどこかで30分は作っておきたかったです。ストレス社会に生きる大人と比べたら小学生たちは、まだ身体の奥まで差ほど固いというわけではないですし。
ですから、そういう内にしっかりと“投げる”ということは、【身体の隅々まで「柔らかくて癒し的な質」をイメージしながら投げるもの】だというのを体で覚えるべきかと。いや、むしろそれが当たり前でほかに何かあるの?くらいまで徹底すべきです。
ピッチングのカテゴリーの最初の記事を、あえてキャッチボールにしたのは、皆さんが思っている以上にこの練習は大切であり、私が最も悔やんでいることでもあったからです。
プロになれる投手かどうか…すべてはこのキャッチボールで決まると言っても過言ではないでしょう。毎日しっかりと取り組みたいところですね。