筋トレが出来ない小学生が行っておきたい肩を強くする方法
メール相談で学生選手から意外と多くいただくのが『肩を強くするにはどうすればいいでしょうか?』という質問です。投手からというより野手も含めてなんで、このテーマで悩んでいる人が多いみたいですね。今回は、本格的な筋力トレーニングが出来ないけれど肩を強くしたいという選手へ、お勧めしたいちょっとしたコツやトレーニング法をご紹介していきます。
前回のキャッチボールの重要性についての記事でも触れましたが、私は身体が小さい割にはスピードボールを投げたり、遠くへ投げたりすることができました。その当時から感じていたのが『遠投をしてれば肩は良くなるだろ』という独特の感覚。今考えると恐ろしいですが…w 最近は遠投を行わせない学童野球チームが増えましたが、投げる機会が減ったという点でも肩力が著しく低下した要因の1つでしょう。
よくプロ野球選手が『投げる筋肉を鍛える』という言葉を使うように、やはりボールをどんどん投げないと肩は強くなりません。もちろん、それと同時に正しい投げ方を行う必要性もありますけどね。
肩の強さはローリング運動から生まれる
技術的な基本の投げ方は、ちゃんと練習している学童のチームに所属していれば身に付くでしょう。それとは別に『基本は出来ているんだが、何か投げ方がぎこちないんだよな』って選手がいると思うんですよ。
そういう選手の肩の使い方って、ある共通する特徴があるんです。
それは…肩関節を中心に手や腕を回転させていくように投げるという動きです。「投げるイコール肩を回す」っていう式は、学童野球を指導しているお父さんなら常識でもあると思うんです。
じつは肩関節が中心になっている投げ方では、複雑かつ高度な動きが出来ないためぎこちなく見えたりするんです。センスのある少年の投げ方って見ていてスムーズですよね?彼らは肩を回しているようにみえて肩関節中心で投げているわけではないんですよ。
肩甲骨の可動域を広げるだけでは肩は強くならない!?
じゃどこを使って投げているのかというと…肩甲骨ですね。勉強熱心なお父さんコーチなら肩甲骨の動きが良い投球フォームへ繋がるというイメージはあると思いますが。
この部分は、最近の野球指導書を読んでても思うのですが、単純に可動域を広げるようなストレッチを行う感じ?の内容に私は疑問を感じます。
というのも、可動域を広げたから肩が強くなるかといったら必ずしもそうではないからです。学童野球の指導をしていると気づくと思いますが、関節の柔らかい選手って結構多いんですよ。極端な話では大人と比べたらみんな柔らかいですからね。
単に関節が柔らかいだけではなく、複雑な動きをスムーズに行える柔らかさというのが大切になってくるということ。
投球の基本はローリング運動
それらを可能にするのがローリング運動です。
肩関節を中心に腕を回転させるのではなく、体幹と肩甲骨を別々に回転させるようにスライドする動きがより高度な投球を可能になるんです。
少しでもイメージができたら実際に選手の肩の使い方をみてみるといいですよ。
『おっ、あいつ良いボール投げるな』って選手を見かけたら、肩関節そのものよりも肩甲骨とか胸を含めた肩・背・胸部全体を観察してみてください。ぎこちなさなんて微塵も感じない理由がわかると思います。
私が公開しているセンストレでもこの動きを鍛えるトレーニングメソッドがありますので紹介します。
ウォーミングアップにぜひ取り入れてみてください。
基礎トレーニングをアレンジして肩力を鍛える
冬季に学童野球のグランドを訪れてみると、どのチームもボールを使った練習よりも基礎体力を強化するトレーニングが中心になっていますよね。
私が小学生の頃もサーキットトレーニングを中心に基礎トレを行っていた記憶があります。
いま思うと色々とやり方をアレンジしてもっと効率の良いトレーニングはいくらでもできたと思いますが、その中でも肩の動きを鍛えるのに適した2つのトレーニングを紹介します。肩甲骨と体幹のスムーズなローリングが出来るように意識しながら行ってください。
腕立て伏せを工夫して動きを変えてみる
まず1つめは腕立て! 基礎トレの代表格ともいえるトレーニングですが、このやり方をアレンジしてみましょう。
通常の方法は腕を大きく広げて大胸筋を強化するタイプと腕を狭めて上腕を鍛えるタイプの2つに分かれるかと思います。とはいえ、どちらのやり方でも肘を深く曲げることには変わりはないのですが。
私が考えるのは、腕立ての姿勢から肘を全く曲げずに肩甲骨を中心に上半身を回転させるやり方です。
肩甲骨の内側を意識すると上手くいきますよ。もちろん肩周りが固いと最初は上手くできません。そういう場合はいきなり腕立て伏せのポジションは厳しいので、両ひざを地面に着いて行うと良いかもしれません。
ポイントは2つ。
- 肩甲骨と体幹を時間差でローリングさせていくこと
- 肩を回していくときに僧帽筋の過緊張に気を付けること
です。上半身が波打つように連動して動いてくると遠投が出来るようになりますよ。けっこう熱心に行ってると、知らずの内に肩が耳の位置まで挙がってしまうくらい力が入っていた…なんてことにならないように注意してください。ゆったり大きく回すように、肩を下げるようにローリングさせると良い感じに出来るでしょう。
鉄棒での斜め懸垂は絶好のトレーニング
腕の直線的な曲げ伸ばしではなく、上半身の連動したローリング運動は鉄棒でも有効なトレーニングになりますよ。
私は小・中学校の体育の授業や体力テストで行う鉄棒がけっこう得意だったのですが、その中でも懸垂にはこだわりというかセオリーみたいなものが自分の中でありました。
懸垂の回数を多くするにはとにかく前半で腕の力を消耗しないように、上手くペース配分させてできるだけ腹筋や背筋で挙げるという感覚で行っていた記憶があります。
いま思うと純粋な懸垂ではなく、肩甲骨と体幹を巧みに使ったローリング運動になっていたのかもしれませんね。こういう動きは関節に負担のかかる筋力トレーニングとは異なりますので小学生の内から行っておきたいです。
ほとんどの学校グランドには鉄棒があると思いますが、それを使って毎日10回だけでもいいから斜め懸垂でローリングのトレーニングを行っておきたかったです。続けていればボールを投げる筋力がつくという意味ではなく、強い肩のベースが出来上がるということ。
鉄棒なんて誰でも無料で使えますからコストパフォーマンスに長けているかとw
ぜひ行ってみてください。